玖珂層群の転石

江田島市でもっとも高い山が野登呂山(又の名を宇根山542.0m)です。
この山は呉花崗岩の上に乗っかった、玖珂層群で出来ており、その登山道入口に玖珂層群堆積岩の珪質部と泥質部が互層する、層状チャートの大岩が転石となって有ります。

(画像の左右50cm)
直径2mくらいの大岩ですが、熱による再編でグラニュー化が進み、泥質部はホルンフェルス化しています。

(画像の左右110cm)
この付近のミカン畑は玖珂層群の転石を利用して、石垣が積まれています。
中央の白いのは石英質です。

今までのナツミカンから、新品種のミカン苗に植え替えられたようですが、これからの管理は大変・・・ m(__)m です。

(画像の左右30cm)
層状チャートの転石も、立派に石垣の材料となります。
大矢鼻の閃緑班岩

大矢鼻の先端へと伸びる、花崗斑岩岩脈の西側を平行して、脈幅2m、長さ30mで海中に没する露頭が確認できます。

陸側から海中へと続く閃緑班岩の様子です。

(画像の左右2m)
右上の白い岩は音戸花崗閃緑岩で、ナイフで切ったようにスッパリと割れています。

(画像の左右50cm)
左が閃緑班岩、右が音戸花崗閃緑岩で、境界面は直線です。

(画像の左右80cm)
新鮮な閃緑班岩の表面は、スベスベした深緑色なのですが、風化が進み砂岩か、泥のようにも見えます。

(画像の左右25cm)
閃緑班岩と呼ばれるのは、閃緑岩に班として長石や、輝石、石英粒などが入っているのが見えるからなのですが、この場合小さすぎて、班というより粒と言ったほうが・・・(^_^;)です。
閃緑班岩の石基は、珪長質鉱物、輝石類、燐灰石、鉄鉱物や角閃石などの微小結晶できています。
班晶は、斜長石、斜方輝石、単斜輝石などの1mm前後が普通で石英粒を含むこともあります。
その閃緑班岩中に石英塊が捕獲されていました。
花崗閃緑班岩(ダルメシアンジャスパー)
角閃石の班晶が際立つ、花崗閃緑班岩です。
(画像の左右120cm)
音戸花崗閃緑岩を割って、横幅1m長さ約20mの岩脈露頭があります。
普通の花崗斑岩と違って音戸花崗閃緑岩に強い熱ダメージを与えているように見えますので、貫入岩体の温度が高かったのではと、イマジン・・・(*^。^*)です。
(画像の左右100cm)
島内では他に見ません。
(画像の左右30cm)
石基は他の花崗閃緑班岩と同じように見えますが、班晶の角閃石が際立って大きくてきれいな模様の石です。
模様がダルメシアン犬に似ていることから、ダルメシアンジャスパー又は、ダルメシアンストーンと商品名をつけられ、販売もされています。
なを、ジャスパーとは何の関係もなく、アプライトと呼ばれるべきです。
大矢鼻の音戸花崗閃緑岩
自然の色彩美(花崗閃緑班岩)
大矢鼻の花崗斑岩・花崗閃緑班岩

大矢鼻には、音戸花崗閃緑岩を割って、花崗斑岩・花崗閃緑班岩と閃緑班岩の岩脈が東西方向に平行して走っています。

手前の黒い岩脈が閃緑班岩で松の木を乗せ、沖に伸びる岩脈が花崗斑岩・花崗閃緑班岩
です。

この花崗斑岩岩脈と呼ばれるものは実にややっこしくって、見れば見るほどわからなくなります。
それでなくても似たような名前の岩石名ばかりなのに、大矢鼻で見ることの出来る100mばかりの露頭でも、部位によって花崗斑岩に見える部位、花崗閃緑班岩に見える部位、珪長岩に見える部位と、数メートル単位で変化しています。
画像の手前、岩の角が丸くなっているのは、花崗斑岩に近い岩相で、先の方に見える角ばった割れ方をしている部位は珪長岩に近い岩相をしています。

(画像の左右60cm)
さらにはこの部位、黒い岩と褐色の岩、実は両方とも花崗閃緑班岩です。
黒い方の岩石は斑岩の石基部分に含まれる有色鉱物(閃緑岩・黒雲母)の割合が極端に多く、また、風化によっても色が変わりにくい性質を持っているのだと思います。

(画像の左右30cm)
実は、右に見える褐色の花崗閃緑班岩の、新鮮な岩肌は上の画像なのです。
磁鉄鉱を含有する江田島花崗閃緑岩

この付近の江田島花崗閃緑岩は鉄分に富んでいます。

(画像の左右50cm)
江田島花崗閃緑岩にあるペグマタイトの中や、外?にも黒い塊状となった磁鉄鉱が見えます。

(画像の左右30cm)
長石質の部分にも班状になって点在します。

(画像の左右25cm)
はっきりとペグマタイト中に取り込まれた塊状の磁鉄鉱です。

(画像の左右15cm)
ペグマタイトではなく、粗粒の花崗岩(長石質)からじかに析出した?磁鉄鉱の塊りです。

(倍率約60倍・右は爪楊枝の先端部)
付近の砂を持ち帰って観察しましたが、磁鉄鉱の結晶は見つかりませんでした。
爪楊枝の先っちょと同じ大きさの、丸い鉄球のようなものが見えたので、宇宙塵ではと思ったのですが・・・。
近くには造船所とかもありますし、溶接作業で飛び散った火花?みたい・・・(^_^;)です。