大原 大歳神社

大柿町大原地区は北の大原湾から、倉橋島を対岸に臨む能美島南部海岸までの広大な地域を有し、その範ちゅうには高清水山、陀峯山、一本松山など能美島南部を代表する山々をも含みます。

昭和59年になって、やっと能美島南部海岸道路が完成し、南向きの傾斜地を生かした別荘地開発も進んでいますが、それまでは家族単位の零細な採石事業者が入り込むだけの人跡未踏地でした。
戦中、戦後の一時期、農耕船に肥料や耕作道具を積み込み、急流を流れ下る小川の水を頼りに、日帰り農業が行なわれたこともありますが、元々がやせ地で有ったうえ、干ばつと洪水の繰り返しで人々が住み着くだけの余裕はありませんでした。
そんな過酷な地に、だれがいつ建立したのか立派な鳥居が建ち、その奥に大歳神社が祀られました。

今は立派なアスファルト道路に構えますが、古くは農耕船や採石運搬船が艫を舫う簡易な港の奥にひっそり祀られていたでしょう大歳神社です。

御神体を胎するは花崗岩を刻んで作られた小さな祠です。

この日訪れたときは、運よく?祠の板戸が風で押し開かれていました。
強風で散乱した内部を整頓してみますと、陶器の恵比寿?様と、形の良い煙水晶が二個、ぐい飲み猪口が二つあります。
きれいに並べ直して、二拝二拍手一拝をしました。

ふと、足元を見ますと落ち葉に隠れて、未開封のワインが倒れています。
拾いあげ、神殿脇にお供えして、もう一礼。
イノシシに蹴落とされ瓶が割れたりするとまずいので、再びワインを地面に寝かせ、木戸を閉めてさらに一礼。

大歳神は五穀豊穣をつかさどるとされます。
干ばつと洪水を繰り返す当地にあっては、もっとも頼りになる神様です。

大歳神社の祠にも奉納してあった水晶、この付近の山々を縦走すれば、時に太陽光を結晶面に跳ね返して光り輝くこともあります。

花崗岩中から紫水晶が発生することは極稀なことですが、豊穣をつかさどる大歳神にとっては容易いこと・・・(*^。^*)かも。

当地大原に生まれ幼少期を過ごした、日本漆工芸界の草分けとされる六角紫水(1867~1950年)氏、裏山で拾った紫水晶の一片が彼の芸術家精神の発揚となったことは間違いないでしょう。
ちなみに六角氏の代表的作品の一つ、巨大煙水晶を思わせるビール瓶に、麒麟のデザイン画を作成されたことは有名な話です。
もしかしてぇ~♪、だけどぉ~♪・・・
大歳神社の赤ワインは、紫水晶を見つけたその御礼にと供えられたのかも♪・・・。
きょうは、クリスマス
皆様にも素敵なプレゼントが届きますように・・・(*^。^*)です。